どこかの国に落ちていくとも山道を駆け下るとも言える感覚で落ちていく。茂みのある山道を落ちきる時に4〜5人のひととすれ違う。そのまま行こうとすると、「俺のこと忘れんなよ」と声がする。「マリオさんだ」と思ったのとその声はほぼ同時、いや私の感知の方がわずかに早かったのだが。挨拶を交わし勢いを殺さぬまま駆けていく。

 

どこかの国の祭りの風景。高地であるのか、山の尾根道、またその山頂と山頂とを木橋で繋いでいるところもある。さほど広く無いそれらの頂上付近にひしめき合う集落があり、焚き火の煙、料理の香りがする。その狭さから人々の距離は自然と近くなり、肩と肩がギリギリぶつからないほどの距離感で人々が行き交っている。

 

山の斜面を利用した全体としてはすり鉢状であるが、その一つ一つがかなり急な滑り台の集合体のような急斜面に出る。枝分かれした自然な造形の滑り台とも言える。草の茂みやポッカリと黒い穴もある。どこまでも続くお城の滑り台の時と同じ感覚がした。ゾクゾクするのだが、ここをどうすべり落ちようとコースどりを考える。30メートルほど下のその底は川であるのか。そこに思いきってダイブする。

また山頂の尾根とそれを繋いだバザールを行く。市のような賑わいを見せる迷路のような建物と外の中間のような空間沢山の人、欧米人もいる。

そこは黒いおそらくは鉄骨からなる黒くて短い階段が低く折り重なって迷路のようになっていて、それらが回転しながら動いていて、まるでマリオのアクションゲームのように私は巻き込まれないようにというよりは階段の動きに合わせてできるだけスムーズなら上り下りしたら飛び移ったりしている。その様を多くの周りを取り囲むようにしている観光客や身体の大きいおそらくはドイツ人であろうワンピースのご婦人がこちらを観ている。